日別アーカイブ: 2018年10月24日

落語を聴いて楽しむ(桃月庵白酒)

 先日、私が今贔屓の噺家「桃月庵白酒(とうげつあんはくしゅ)」師の独演会の後、お店で食事をしていたら偶然にもご本人がいらしてお目にかかることができました。大好きな噺家の落語を聴いた後の、まだ興奮冷めやらぬうちに出会えたという最高の出来事でした。残念ながら一緒に撮ってもらった写真の師匠は半目状態で、私も緊張からか異様な笑顔で表に出すことが出来ない代物となるという、最高の後の残念というおまけつきに関しては次回リベンジを期待するとして、そんな嬉しい出来事がありました。

 私のデスクには、以前手に入れた「いいかげん」と書かれた師匠のサイン色紙を挟んでおりますが、この言葉がとてもよく合う噺家でして、この「好い加減」は「適度な程よい加減」を言っているのか、「不徹底であったり投げやりで無責任」なことを言っているのか時々考えますが、どちらにせよピリピリとした気持ちの時に眺めると、少し肩の力を抜くことが出来る心強い味方となっております。

 落語協会に所属する師匠の前座名は「五街道はたご」で、二つ目で「五街道喜助」となり、2005年真打昇進で「桃月庵白酒」となりました。弟子入りした師匠は「五街道雲助」師で、28年度に紫綬褒章を受章された立派な噺家。東京倉庫協会では平成6年の年末全体会に出演していただいたことがあります。

 当日の演目は「真田小僧」「百川(ももかわ)」「らくだ」でした。「らくだ」については立川談春さんの噺を記事にした時に書いているので、落語通からは批判を受けそうですが今回は「百川」を私なりにあらすじを簡単にご紹介いたしますと…

 「日本橋浮世小路の料亭「百川」の抱人(従業員)となった百兵衛という実直な田舎者が、そのなまりの強い言葉によって、聞き手が勘違いをし、いくつかの騒動を繰り返します。最後に最初から最後まで沢山間違えたことを「抜け作」だと叱られた百兵衛が「抜けたのは一字だけだ」と反撃して終わるのが落ちです。」
 というのは、料亭でのひと騒動の後、百兵衛が客に使いを頼まれて三味線の名師匠を連れてこなければならなかったのですが、聞き手の勘違いにより連れてきたのは、三味線の師匠と同じ町内の似た名前の名医という大きな間違いをおかしたのですが、三味線の名師匠は「かめもじ」という名で、名医は「かもじ」という名の一文字抜けただけだったから、百兵衛にとっての間違いはそこだけだったということなのでしょうね。
 ネタの面白さもありますが、白酒の演じる百兵衛の出身地不明の謎の方言に惑わされ勘違いして騒動起こす客の若い衆等の演技はこの人に勝てる人はいないのではないかと思うくらい滑稽だし、ネタのいじり方が彼独特で終始笑わせてくれました。

古典落語を壊してしまうことなく現代向けの面白さを取り入れており、時々私にはわからないような高尚な時事ネタ等も交えるところも、幅広い年代にうける落語だと思います。ネタに入る前の結構長めの「まくら」も聞きどころです。 好きな噺家の好みは分かれるところなのですが、私にとって今一押しの噺家です。(東倉協小杉)

サイン色紙「いいかげん」※私に向けて書いてくれた言葉ではありませんよ